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第1回・ムーブメントの選び方〜真髄を味わうには、まずは72弁から〜
リュージュのムーブメント(演奏装置)には、現在大きく分けて5種類あります。
懐中時計やペンダントトップなど、アクセサリーに用いられる17弁、小型のジュエリーボックスやリングケースに用いられる22弁・36弁。
本格的な楽曲の演奏に適した72弁・144弁と、リュージュ最大のカーテル式(ラチェット機構によるぜんまい巻上げ式)144弁。 これだけのバリエーションに対して、さまざまなデザインのボックスが用意されるため、選択肢はかなり多くなります。
その中で、もっとも「リュージュらしい」音色を楽しめるのは72弁のムーブメントではないでしょうか。
「弁」というのは、櫛の歯のことです。
オルゴールの構造は、皆さんも何となくはご存知でしょう。金属の筒にたくさんのピンが植え込まれた
「シリンダー」が回転し、 その手前にセットされた金属製の櫛「コーム」が、ピンによって弾かれる事で
演奏します。
演奏方式としては、ピアノに近い構造を持っています。一弦に対して一音です。
ですから、単純に櫛の歯の本数を増やしていけば、音階を増やしていくこともできますし、 和音やトレモロによる多彩な音楽表現が可能になります。
気軽にいつでも、どこででも美しい音色を楽しめます。
櫛の歯を増やしていくということは、ムーブメントそのものがどんどん横方向に拡大していってしまう、ということです。もちろんそれを納めるボックスも。 また、より多くの櫛歯を弾くために、必然的にシリンダーも横長になり、植え込まれるピンの数も膨大になります。 とてもオルゴールとは思えないような素晴らしい演奏を楽しむことができますが、設置場所を工夫しなければなりませんし、72弁と比べるとやはり高価です。
144弁オルゴールの横幅は(モデルにもよりますが)大体50〜60センチ、72弁では約25センチ程度。例えばテーブルの上でコーヒーを飲みながら、 あるいはベッドサイドで楽しむには、72弁サイズの方が適しています。気軽に持ち運べて、どこででも楽しめます。
「穏やかでしっとりとした、オルゴールらしい優しい演奏」が得意なのは、実は72弁の方なのです。
144弁ムーブメントの最大の特徴は、表現できる音の多さです。
おそらく、初めてリュージュの144弁をお聴きになった方は、その複雑で豪華な演奏に驚かれることでしょう。
まるでオーケストラの大合奏のような・・・ そうです。
144弁は、例えるならばオーケストラ、対して72弁はソロピアニストの独奏なのです。
72弁の得意な楽曲として、ドビュッシーの『月の光』、ショパンの『別れの曲』などがありますが、このような、スローテンポで情感を持った楽曲は、
144弁で演奏すると、やや派手になりすぎてしまうのです。
そう、何でも闇雲に弁数を増やせばいい、というわけではないのです。
ちなみに、144弁の得意とする楽曲は、スメタナの『モルダウ』、やオペラ曲などです。特に『モルダウ』は、一聴の価値がある名曲です。
では、もっと小さな36弁以下のムーブメントはどうでしょうか?
前述のとおり、オルゴールはピアノの演奏方式に似ています。
ですから、ピアノ曲を演奏するのが最も得意で、例えばモーツァルトやショパン、ドビュッシーなど 非常に美しく繊細に演奏します。
当然、リュージュの曲目ラインナップの中でも、これらピアノ曲が常に人気の上位を占めています。
ピアノの弦の数は88弦です。一曲に対してすべての弦を使うわけではありませんが、36弁、22弁ではピアノ曲を再現するには力不足なのです。
もちろん、音色は非常に綺麗です。
72弁以上のクラスと同様、調律が施された高性能なムーブメントであることに変わりはないのですが、
「楽曲を堪能する」という意味では、やはり72弁にはかないません。
主旋律・伴奏・和音・トレモロ・・・、全てにおいて72弁のほうが格上なのは当然のことでしょう。
ただ、オルゴールという機械が持つ「素朴」「懐かしい」「可愛らしい」というイメージにはぴったりの大きさです。
シンプルな演奏ゆえに奥深さを感じます。
結論。まずは72弁で、リュージュの世界をご堪能ください。
多くの方は、「オルゴール」=「ふたを開けると音が鳴り出す小箱」のイメージではないかと思います。
あるいは、かわいい人形がくるくると踊る仕掛けのアクセサリーでしょうか。 子供の頃にプレゼントされた、初めて聴いたオルゴールの優しく、可愛らしい音色。懐かしく大切な思い出。小さな宝物―。
そんなオルゴールの源流ともいうべき、美しく繊細で情感豊かな音色とメロディーに、改めて触れる瞬間。
オルゴールという機械が持つ素晴らしい魅力を、最大限に引き出すために必要な音数を備える、72弁ムーブメント。 あなたのオルゴールへの価値観が変わる体験を、ぜひ味わってみてください。

72弁オルゴール
第2回楽曲の選び方
第3回ボックスの選び方
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